食事の後に出される果物やお菓子などの甘味のことをデザートといいますが、デザートの語源は、フランス語で「食事を下げる」「食卓を片付ける」という意味がある「dessert(デゼール)」に由来します。
デザートの歴史は古く、古代エジプトで小麦を使用したパンの中に果実などを練り込んで作られていたという記録が残っています。この技術は後にギリシャに伝わり、果実の他にも卵やはちみつなどを加えて作られるようになりました。ギリシャに伝わった後、ローマでパンとお菓子が区分されましたが、お菓子は祭りや儀式に使用されたり、富裕層が楽しむための特別なものとして広まりました。中世になると、十字軍の遠征によってヨーロッパ中に砂糖が広まりました。砂糖が広まったことにより、鶏卵や小麦粉、バターなどと合わせてオーブンで焼くお菓子が作られるようになりました。今のようにお菓子が世界各地に急速に広まったのは、冷蔵技術や流通が整った20世紀以降と言われています。また機械で大量生産が可能になったことによって、いままでそれぞれの国で作られていた様々な種類のお菓子が世界のどこにいても安く手軽に食べることができるようになりました。
日本に伝わった初めてのデザートは、奈良〜平安時代に中国大陸から伝わってきた唐菓子といわれています。さらに鎌倉時代になると宋からお茶が伝わり、現在の和菓子の源流である茶菓子が伝わってきたことから、お菓子の発展の元になったのはお茶と言われているのです。室町時代に入るとスペインやポルトガルからカステラやカラメルを使用した南蛮菓子が伝来して全国に広がりましたが、庶民がお菓子を楽しむようになったのは、江戸が栄えてからと言われています。江戸を中心に庶民が楽しめるお菓子が作られるようになり、これが現在の和菓子の元です。
洋菓子が日本に伝わったのは、明治維新の後と言われています。ドロップやチョコレート、ビスケットなどが輸入されるようになりましたが、当時は高価なものであり、基本的には貴族などの上流階級が楽しんでいました。戦後になり、庶民でも自由に砂糖が手に入るようになると和菓子や洋菓子、米菓など多くの種類のお菓子が生産されるようになり、老若男女問わずたくさんの人たちに愛されるようになり今日に至っています。
現在、食の健康や安全面を気にする人が増えていますが、健康志向が高まったことでアイスクリームやケーキなどでも糖質オフなどニュータイプのお菓子が誕生するなど、デザートやお菓子も日々進化を続けているのです。