ポーランドで人気のKrowki(クルフカ)はポーランド式のファッジ、つまりキャンディーの一種です。複数形でクルフキとも言い、小さい牛を意味する言葉から名づけられています。主にヨーロッパと北アメリカで愛されてきた歴史があり、近年は日本でも注目を集めます。食感は柔らかめで見た目はキャラメルに近く、一粒頬張るとミルクや砂糖の甘味、バターの香ばしさやクリームの深みなどが味わえます。バニラ入りやチョコレート、コーヒーの香りつきのKrowki(クルフカ)もあるので、様々なバリエーションが楽しめます。
バリエーションの中には、乳糖不耐症向けに豆乳で作られたものもありますから、多くの人が楽しめるキャンディーだといえるでしょう。販売は世界的で大抵何処でも手に入りますが、本場ポーランドでは伝統の製法とレシピを守り、地元向けに製造を行い商品を供給しています。本物に拘ることで知られる工房は、消費者が求める味を守り、零細ながらも無理をせず堅実に操業を行っているようです。Krowki(クルフカ)はキャラメルタイプの個包装で、パッケージに乳牛のイラストが入っているデザインが定番です。見た目はキャラメルですが、最初の一口目の食感はややカリカリで、サクッとした歯ごたえのものもあります。
中からはとろけるような食感のキャンディーが顔を出しますから、一粒で変化を楽しむことができます。外側が固めに作られているのは、常温でも簡単に溶けないようにする為です。ポーランドで国民的なKrowki(クルフカ)の歴史は、1920年代にまで遡ります。Krowki(クルフカ)の父と呼ばれる発明者は、子供の頃に何度も叔父が経営するキャンディー工房に足を運び、そこで作り方を教わっていました。成人後に自身の工房を開き、やがて製造方法の確立と販売にこぎ着けます。
1930年代には本社をより人通りの多い場所に移し、大きな工房を建てて売り出すことになります。第二次大戦中、工房はポーランドに侵攻してきたドイツ人によって乗っ取られてしまいます。それでもめげたり絶望することなく、戦後に工房を新たに作り、息子の名前の頭文字も入れて再建しました。1952年に当時の政策で国営企業になりますが、国営化されてから品質が劣化し始めます。このままではキャンディーの味が失われると危惧した親子は、自宅の庭に小さい工房を開き、独自に本物を追求して味を守り続けてきたわけです。誕生から90年余り、紆余曲折で一時は失われそうにもなりましたが、発明者とその息子の手で守られてきた味が今も誕生の地で愛され続けているのは素晴らしいことです。